博士学生の入院記 〜 高専から博士進学・学振採用まで 〜

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【DC2採用】R04(2022) 学振申請書を限定的に公開!! PART2 研究計画の書き方(続き)

これは続編です。PART1はこちらから!

申請書のダウンロード方法も記載しております。

ceramiku.hatenablog.com

 

 PART2は【研究計画】の続きです。PART1では主に研究テーマ全体の背景や修士課程での研究成果を主張することに重きが置かれていました。このパートでは、申請書の要である博士研究の内容について注意点や意識した点を書いていきます。

 

 

4. 申請書の解説 PART2

4.1 【研究計画】(2) ①研究目的、研究方法、研究内容

・P4-1 :どうにか実現できそうな目的を掲げる

 目的は強度が非常に重要です。"どうにか頑張れば実現できそうで、完成時のインパクトが大きい"と審査員に思わせる必要があります。簡単な目的を掲げると、博士課程で給料を支払ってまでサポートする価値はないと判断されます。逆に難しすぎると、実現できない内容にお金は払えないという意識が働きます。

 私の場合は、"どういった方法で何を明らかにするのか"を明記しています。加えて、目的の後半では"社会への応用も見据えているぞ"ということをアピールするようにしました。掲げた目的の価値をよく理解してもらうためには、【研究計画】(1)でしっかり課題点を説明しておく必要があります。

 また、ここで研究テーマの概要を示す俯瞰図を入れるのは効果的であると思います。次に説明する方法・内容を組み合わせて目的に至るまでのルートを明確にする意味があります。

 

・P4-2:明らかにするターゲットと用いる手法を明確に

 どんなものを対象にして、どのような方法から、何を明らかにするのかを明確に記述することがなによりも重要です。特に注意して書いた点は、分析手法とそこから得られる情報に相違がないかどうかです。"知りたい情報"を得るのに最適な手法を提案しているかどうかはよく考えるべきです。また、その手法で出来ることは"推定"なのか"決定"なのかなど表現も大事です。

 

4.2 【研究計画】(2) ②どのような計画で、何を、どこまで明らかに

・P4-3:実験方法の詳細な説明:地に足がついている事をアピール

 ここで重要なことは、「どのような計画で、何を、どこまで明らかにするか」というタイトルに完全に従うことです。ただし、ここにも他の申請者と差別化できる点があります。その一つが実現の可能性を示すことです。私の場合は、"修士課程ではここまで出来ることが分かっている"というような文章を追加して、博士研究で提案した方法も実現できる可能性が高いことを示唆しました。

 

・P4-4:予想される結果を必ず書く

 次に差別化点は、提案した手法によって得られるであろう結果を書くことです。手法を提案するだけなら、(厳しい言い方をすると)誰にでもできます。ですが、期待される結果までは十分に研究背景が分かっていないと説明できません。なので、ここでそれが出来ると"自らの研究背景の理解度""実現できる目途"が立っていることをアピールできます。

 

・P5-1:分野融合型の研究であることをアピール

 近年の研究テーマは、自分の専門だけで解決できるということは多くなく、内容が高度化するにつれて他の分野からのアプローチが求められるように思います。調査してみると、こういった分野融合型の研究テーマが大きな予算を獲得しているようです。逆に言うなれば、他の分野の力が必要であるということは高度な研究内容を提案しているという理解になります(必ずとは言いませんが)。

 

・P5-2:3年目は余裕をもって

 3年目は全ての成果を収束させていくタイミングです。にもかかわらず、ミチミチに実験をしているようでは"先が思いやられる"というものです。終わりに向かっていくビジョンを示せるといいです。

 

4.3 【研究計画】(2) ③研究の特色・独創的な点

・P5-3:研究の特色

 わかりやすく簡潔に、以上!! 

 

・P5-4:先行研究との比較して、提案内容の優位性を示す

 自分が明らかにしようとしている事柄が先行研究ではどこで止まっているかを示すことで、その先へ研究を進める重要な提案であることを審査員に意識づけられます。 ただし、先行研究を否定的に書くのではなく、あくまでその発展した先に提案した研究内容があるという位置づけにしましょう。

 

・P5-5:予想されるインパクト、将来の見通し

 ここで大切なのは学術的(基礎)にも工業的(応用)にも重要な成果が得られるかもしれないと主張することです。学術的な意味合いとしては、普遍的な描像が得られるという点を強く押しました。学振に出すテーマは非常にニッチになりがちです。私の場合、化学→無機化学→〇→△→×といった感じで、かなりフォーカスしていきます。なのでこの×のところで新規の知見が得られても学術的インパクトは弱く見えます。そこで、少なくとも1つ上の階層である△や〇といった領域でも適応できるような、"普遍的な現象を取り扱っているんだぞ"というアピールをしています。

 工業的な方ですが、こちらのアピールも重要です。学振の採用後の手引きにも書かれていますが、特別研究員では"アウトリーチ活動"が推奨されています。つまり、"あなたの研究成果はなにに役立つのか"を国民に示せということです。私は流行りのSDGsという言葉でアピールしました。

 

4.4 【研究計画】(2) ④申請者が担当する部分

・P5-6:専門外の部分は、外部からのサポートを受けることを明記

 さきほど分野融合型の提案をするということを書きましたが、そうすると自分だけでは実現できない可能性が高いです。そういった場合はごまかさず、ここで"専門家と共同研究する"から安心してと書いてしまうのが良いと思います。

 

 

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区切りがいいのでPART2はここまでです。次回以降はPART3、自己分析編です。個人的はこれがまた研究計画以上に大変でした。テンプレが変わり、参考になるものが何もなかったので困りました。さらに、自己アピールA4で3枚って!!と、、、