博士学生の入院記 〜 高専から博士進学・学振採用まで 〜

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よく怒られる学生とは 後編 :量産型学生の生態

前編ではよく怒られる学生の特徴を述べましたが、どう感じられましたかね?
今回はよく怒られる学生の勝手な総称:量産型学生について考えます。

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仕事場でこんな新人社員いませんか?
研究室でこんな学生いませんか??
全く同じ解答 同じ行動、同じミスをし、同じく怒られる学生、量産型学生

自らのオリジナリティーとは何かを知らない、答えられない、問いかけた事がない学生が多いとは感じませんか???????

なんで怒られてんるだろうという顔や態度でただハイと言っている人は多分にいます。
そして前回述べたとおり、こういった課題点は社会に出る前に学校で解決すべきものです。
にも関わらず、量産型学生が多く排出される理由はこれまでの教育にあったといってもいい様に思います。

正直なところ、私もまだ大学院生の身分ですから見るだにして、量産型学生の比率は年々増加傾向にあって、その理由もハッキリわかります。(周りにその例がたくさんあるので)

一部は、小学校や中学校の教育レベルの低下。圧倒的な原因は、高校教育と家庭の教育にある様に思われます。


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まずは、小中学校の教育ついての私の不満を述べると"授業がつまらない"の一言に集約される気がします。

私は、理系なので理科および数学についての話をすると、理科の授業は余りにも単調で現実世界との乖離があるように思います。確かに、初学中学という基礎教育においてどれだけ知識を詰め込むかは重要ですが、理科という世界の真理を学ぶ学問において、学問の面白みがなく、ただの事実を覚えているだけのような気がします。
そして、世界の現象について面白く指導できる先生がいないように思います。十中八九、先生も理科の楽しみに気づけていないままに指導をしているからではないでしょうか。それは、授業中に学生は寝ますよ、そしてつまらない先生ほど眠る学生を叱りつけます。理科楽しく無くなりますよね。

数学(算数)においては、楽しさを伝えることはまず難しいと思います。それは、数学は世界共通の言語であり、世界の真理を記述する道具なのですから理科や経済の理解に伴って楽しくなって行くものだと思います。初期の数学は思考力を鍛えるという役割が強いですね。そうなると、小中学校では如何にして数学を嫌いにしないかが肝心です。
そんな中で、バカな先生は"直方体の面積は縦×横×高さの順番でなければ不正解にする"だとか、"まだ習っていないからかけ算を使った回答を不正解にする"ような稚拙な採点になり、数学から学生を遠ざけるのです。教える側が未熟です東京大学にいて初めてそれが理解できます。

すなわち、小中学校においては学問は"何が本質的に正しいのか・面白いのか"を分からない先生が教育をしている点が問題です。


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次に、高校教育について考えます。

高校教育における問題点は、明らかに大学入試センター試験(大学入学共通テスト)だと思います。どこが問題かというと、学歴社会になり大学に入る事が目的で、学問への楽しみがなくなった事。そして、ひたすら暗記をした人が合格する試験構造が学問を探求する時間を奪った事です。

これは、学生個人の思考する時間を奪い、その結果 興味のある学問もなく就職もしたい所も無く、そして他人に"思考と結論"を委ねるような量産型学生に退化するのだと思います。

本来的には、高校までの段階で何らかの分野に対して知的好奇心を見出し、その専門性へと向かって勉強し、大学という場で深められれば万々歳です。どうでしょう、そういう学生が生まれるような大学選びの仕組みになっていますか? なっていませんよね。
そもそも、各それぞれの大学の特色とレベルを理解し、学生の興味に適した大学を進められる先生は多くはないですよね。先生は大学への理解に努めておらず、学生も自分の興味の在り処を知らなければ当たり前の結論です。

つまり、高校においては、"研究をした事がない社会にも出ていない教師が、学生に勉強を無理やり詰め込んで大学という研究機関や民間会社に送り込む"という時点で破綻しているという事です。

なぜなら、先生がやって来なかったことを学生にやらせようとして、センター試験に向けて勉強をさせるんですもの。それは自分の将来に対する魅力は伝わりませんよ。経験ないから魅力を教えられませんもの。

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ではこれらの量産型学生が生まれたきっかけは何でしょう?
発端は現在における、たった一つの教育的な傾向(思想)にあると私は考えています。
それは、" 早期の自立 "です。

迷惑をかけない子供、手間がかからない子供、将来有望な子供を効率的に育成するために模範解答を脳に叩き込み、早期の自立を求めたから。大人が"子供の失敗する機会"を放棄したのです。大人が 理想とする子供の形 "に押し込んだのではないでしょうか。

勉強においても、偏差値とその学問への興味は必ず相関関係にあるわけではありません理科が100点で、それ以外が全部20点でもいいじゃないですか。でも、現在の教育は、家庭はそれを許さない。一度のミスで人生が大きく変わる。だからミスをしたら怒鳴る。
そんな強迫観念のもとに勉強させて、

"答えのある問題には答えられるけど、ないものはさっぱり分かりませんという人間"
を量産してどうするのですか!!!!!!!

誰かにひたすらやるべき事、やらなければならない事を子どものうちに押し付けられる。
だから自分が何者かを考える時間がなかった。人生の選択を"将来自分が経済的成功をする確率"で見るようになった。そうすると、子供は成功のために模範解答を続けるしかないじゃないですか、、、

みんなが示す方向に、正解へ全員で向かう、それが量産型学生なのではないでしょうか、、