博士学生の入院記 〜 高専から博士進学・学振採用まで 〜

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【DC2採用】R04(2022) 学振申請書を限定的に公開!! PART3 研究遂行能力の自己分析

これは続編です。PART1はこちらから!

申請書のダウンロード方法も記載しております。

ceramiku.hatenablog.com

 

 PART3は自己分析編です。このパートでは、書いていてもどこか恥ずかしい内容を延々と述べていく難業です。また、他人と被りやすい箇所です。なのでどうするかというと、自分の業績を引用して"自分は学部や修士のときから目指す研究者像があり、そこに向けて努力してきた"とアピールをすることです。

 

 

5. 申請書の解説 PART3 

5.1 【研究遂行力の自己分析】(1) ①研究に関する自身の強み

 ここでは自分で強みをリストアップして、それを根拠を提示しながら説明していく必要があります。私の場合はこれまでのテンプレートを踏襲し、以下の5点をアピールしました。

  • 研究における主体性
  • 発想力、問題解決力
  • 知識の幅・深さ、技量
  • コミュニケーション力
  • プレゼンテーション力

 業績を含めて説明する必要があるので、まず先に業績リストを作成して、そこから何がアピールできるかを考えましょう。また、ここで書くことは"これまでの自分"です。一方で次ページ以降では"これからの自分"を書くことになります。なので重ねてですが、目指す将来像に修士課程以前から取り組んでいたことを述べましょう。

 

・P7-1:(研究における主体性)  業績で殴る

 主体性を主張するのは難しいです。なぜなら多くの場合は証拠が存在せず、自分が一方的に書きたいこと書いているだけになりがちだからです。ただ学振において、"自分の発案で、自分が計画し、自分で実験して、自分で論文にする"ことが求められているので主体性はアピールしたいところです。そこで最も客観的かつ効果的なアピール方法は業績以外ほかにないです。極力多くの成果を引用して圧倒しましょう。またこれは全てファーストオーサーでなければ効果は半減ですので、ご注意を。

 

・P7-2:(発想力、問題解決力)  修士研究の成果をさらにアピール

 2022現在の申請書テンプレートでは、修士課程の業績をアピールするところが少ないです。そこで、修士研究の独創的な点や与えたインパクトを挙げて、自分の発想力をアピールしましょう。実際のところ、研究の発想や問題解決は自分の力だけでは実現できません。ですがそれは審査員も分かっていることです。ここでは思い切って、すべて自分の成果のように振舞ってしまいましょう。

 

・P7-3:(知識の幅・深さ、技量)  博士研究の実現可能性をアピール

 博士研究の実現に必要となる前提知識を列挙して、提案研究の難しさを主張すると共に、申請者が実現可能な素養を備えているということを書きました。そして、ここで主張したことは(2)の今後研究者として必要な要素や目指す研究者像の部分の布石になるようにしました。

 

・P7-4:(コミュニケーション力)  人間性と語学力をアピール

 他の研究者との共同研究や留学経験、国際学会などでの参加経験を前面に出していきましょう。また、学外での活動でも交流があれば書けるとよいですね。ここもある意味、次ページ以降の布石です。

 

・P8-1:(業績リスト)  かけることは何でも書く

 業績リストはマストで書けとはなっていませんが、業績の引用が必要な時点で組み込んだ方が良い内容であると思います。査読の有無や国内外の区別は注意が必要です。DC2ならまだしも、DC1の場合あまり業績がないと思います。私の周り(無機化学)でもDC1であればファーストの論文が1報あればすごい方だと思います。DC1に採用された知り合いで論文なし、国内学会1件で採用された人もいます。その人も"その他の業績"を結構盛って書いたらしいので、アピールできることはすべて出し切りましょう。

 

5.2 【研究遂行能力の自己分析】(2) 今後研究者として必要な要素

・P8-2:学振が求める人材に沿った要素を列挙する

 ここで重要なことは、学振の採用趣旨に沿ったことを書いているかどうかです。学振は"国費"で学生を雇用するものです(厳密には違いますが)。なので当然ですが、方針に合わない人間を採用するわけにはいきません。その方針というのは学振のHPに記載があります。

www.jsps.go.jp

 私が重要視したことは、”高度な研究能力”"研究成果を社会へ還元すること"、"国際的に活躍すること"でした。なので、自分に足りていない能力を正直に書いて(卑下はしすぎない)、そのあとに必要な要素の解説をつけていく構造にしました。

 

5.3 【目指す研究者像等】(1) 目指す研究者像

・P9-1:前半は経験談にもとづく志望動機の解説

 目指す研究者像だけを延々とA4半分書くのは私には無理だった。ただただ長くて読みにくい文章が書かれただけであり、パーソナリティがまったく見えない自己満足の文章が出来上がってそう気づいた。なので前半は志望動機、後半は本題の目指す研究者について書いた。

 

・P9-2:一貫した研究者像を述べる

 後半の部分が本題になるわけだが、ここで前ページの今後研究者として必要となる要素と矛盾してはいけない。というよりかは、列挙した要素に沿った研究者像を目指さなければならない。ここは意識していた点で、わざわざ下線まで引いています。いま振り返って思うことはここが、次の(2)とやや被ったことを書いていますね。マジで難しい。

 

5.4 【目指す研究者像等】(2) 採用期間中に行う研究活動の位置づけ

・P9-3:より具体的な将来ビジョンを掲げる

 これもほぼ同じで、前ページの今後研究者として必要となる要素を身に付けていくうえでの過程を詳細に説明している。ある意味では、この申請書の締めくくりであることから、申請書全ての要約となるように心がけた。正直この部分は非常に解説しにくいので申請書の方で確認してください(放棄してしまいました、、、)。

 

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6. まとめ

 解説は大体こんなところですかね。その他のアドバイスとしては、図は書き始めのところでこだわりすぎないこと。図は後半戦でいいです。序盤で作っても変更が余儀なくされて時間の無駄になります。また、図中の字がつぶれていないかを印刷してよくチェックしましょう。あと意外な強敵が"指導教員の評価書"です。これが記述量が増えている傾向にあり、早め早めに準備しないと間に合わないです。多くの学生は自分で下書きを書いて先生にブラッシュアップしてもらうと思います。この下書きもマジで大変で、4000字も自分の推薦理由を書くのは気が狂います。ネタ切れします。必ず1か月前には先生に評価書の依頼をしておきましょう。

 

以上、頑張って!!

 

【DC2採用】R04(2022) 学振申請書を限定的に公開!! PART2 研究計画の書き方(続き)

これは続編です。PART1はこちらから!

申請書のダウンロード方法も記載しております。

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 PART2は【研究計画】の続きです。PART1では主に研究テーマ全体の背景や修士課程での研究成果を主張することに重きが置かれていました。このパートでは、申請書の要である博士研究の内容について注意点や意識した点を書いていきます。

 

 

4. 申請書の解説 PART2

4.1 【研究計画】(2) ①研究目的、研究方法、研究内容

・P4-1 :どうにか実現できそうな目的を掲げる

 目的は強度が非常に重要です。"どうにか頑張れば実現できそうで、完成時のインパクトが大きい"と審査員に思わせる必要があります。簡単な目的を掲げると、博士課程で給料を支払ってまでサポートする価値はないと判断されます。逆に難しすぎると、実現できない内容にお金は払えないという意識が働きます。

 私の場合は、"どういった方法で何を明らかにするのか"を明記しています。加えて、目的の後半では"社会への応用も見据えているぞ"ということをアピールするようにしました。掲げた目的の価値をよく理解してもらうためには、【研究計画】(1)でしっかり課題点を説明しておく必要があります。

 また、ここで研究テーマの概要を示す俯瞰図を入れるのは効果的であると思います。次に説明する方法・内容を組み合わせて目的に至るまでのルートを明確にする意味があります。

 

・P4-2:明らかにするターゲットと用いる手法を明確に

 どんなものを対象にして、どのような方法から、何を明らかにするのかを明確に記述することがなによりも重要です。特に注意して書いた点は、分析手法とそこから得られる情報に相違がないかどうかです。"知りたい情報"を得るのに最適な手法を提案しているかどうかはよく考えるべきです。また、その手法で出来ることは"推定"なのか"決定"なのかなど表現も大事です。

 

4.2 【研究計画】(2) ②どのような計画で、何を、どこまで明らかに

・P4-3:実験方法の詳細な説明:地に足がついている事をアピール

 ここで重要なことは、「どのような計画で、何を、どこまで明らかにするか」というタイトルに完全に従うことです。ただし、ここにも他の申請者と差別化できる点があります。その一つが実現の可能性を示すことです。私の場合は、"修士課程ではここまで出来ることが分かっている"というような文章を追加して、博士研究で提案した方法も実現できる可能性が高いことを示唆しました。

 

・P4-4:予想される結果を必ず書く

 次に差別化点は、提案した手法によって得られるであろう結果を書くことです。手法を提案するだけなら、(厳しい言い方をすると)誰にでもできます。ですが、期待される結果までは十分に研究背景が分かっていないと説明できません。なので、ここでそれが出来ると"自らの研究背景の理解度""実現できる目途"が立っていることをアピールできます。

 

・P5-1:分野融合型の研究であることをアピール

 近年の研究テーマは、自分の専門だけで解決できるということは多くなく、内容が高度化するにつれて他の分野からのアプローチが求められるように思います。調査してみると、こういった分野融合型の研究テーマが大きな予算を獲得しているようです。逆に言うなれば、他の分野の力が必要であるということは高度な研究内容を提案しているという理解になります(必ずとは言いませんが)。

 

・P5-2:3年目は余裕をもって

 3年目は全ての成果を収束させていくタイミングです。にもかかわらず、ミチミチに実験をしているようでは"先が思いやられる"というものです。終わりに向かっていくビジョンを示せるといいです。

 

4.3 【研究計画】(2) ③研究の特色・独創的な点

・P5-3:研究の特色

 わかりやすく簡潔に、以上!! 

 

・P5-4:先行研究との比較して、提案内容の優位性を示す

 自分が明らかにしようとしている事柄が先行研究ではどこで止まっているかを示すことで、その先へ研究を進める重要な提案であることを審査員に意識づけられます。 ただし、先行研究を否定的に書くのではなく、あくまでその発展した先に提案した研究内容があるという位置づけにしましょう。

 

・P5-5:予想されるインパクト、将来の見通し

 ここで大切なのは学術的(基礎)にも工業的(応用)にも重要な成果が得られるかもしれないと主張することです。学術的な意味合いとしては、普遍的な描像が得られるという点を強く押しました。学振に出すテーマは非常にニッチになりがちです。私の場合、化学→無機化学→〇→△→×といった感じで、かなりフォーカスしていきます。なのでこの×のところで新規の知見が得られても学術的インパクトは弱く見えます。そこで、少なくとも1つ上の階層である△や〇といった領域でも適応できるような、"普遍的な現象を取り扱っているんだぞ"というアピールをしています。

 工業的な方ですが、こちらのアピールも重要です。学振の採用後の手引きにも書かれていますが、特別研究員では"アウトリーチ活動"が推奨されています。つまり、"あなたの研究成果はなにに役立つのか"を国民に示せということです。私は流行りのSDGsという言葉でアピールしました。

 

4.4 【研究計画】(2) ④申請者が担当する部分

・P5-6:専門外の部分は、外部からのサポートを受けることを明記

 さきほど分野融合型の提案をするということを書きましたが、そうすると自分だけでは実現できない可能性が高いです。そういった場合はごまかさず、ここで"専門家と共同研究する"から安心してと書いてしまうのが良いと思います。

 

 

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区切りがいいのでPART2はここまでです。次回以降はPART3、自己分析編です。個人的はこれがまた研究計画以上に大変でした。テンプレが変わり、参考になるものが何もなかったので困りました。さらに、自己アピールA4で3枚って!!と、、、

 

【DC2採用】R04(2022) 学振申請書 作成例とそのコツを限定的に公開!! PART1 注意点や意識した点を解説

 

皆様お疲れ様です。

 

 このページを開いているということは、これから新たに申請書を書き出す方達でしょうから" 頑張ってください!! "以外にかける言葉が見つかりません。相当大変な作業ですから、少しでも皆様の参考になればと申請書を公開したいと思います。

 ※R03(2021申請)からR04(2022申請)で大幅にテンプレートが変更されましたが、今後も同様のことがあるかと思います。テンプレートが今と異なっても文句ナシでお願いします。

 

 

0. 申請書の公開方法

・申請書ダウンロード  

 

 申請書は公開と言いながらも以下のメールアドレスに連絡があった方のみにご送付いたします。その理由にもなりますが、以下の項目について確約できる人のみご連絡ください。

====================================================================

  1. 申請書は個人を特定できる情報も多く、お渡しすることは研究倫理の観点ではグレーゾーンです。なので、個人情報を省きかつ、研究の重要なキーワードとなるような固有名詞は黒塗りにします。(文章構造や体裁はそのままですので、自らの申請書作成の参考になる部分は活きていると思います。)
  2. メールアドレスへご連絡頂いた方以外への横流しを禁じます。
  3. Pdfのパスワードを他者に教えることを禁じます。
  4. お渡しするのは申請書のみです。指導教員の推薦書は公開はできません。

====================================================================

 

 以上のことを守れる方は、大学名とニックネームを記載の上メールください。早急にお渡しします。 (Mail: nn4277499@gmail.com )

 

1. 【このページの注意点】

 すでに多くの方が学振の書き方などはブログでも本でも書いていると思います。私にはそこに書かれていること以上のことは書けません、というか同じ意見なので書く意味がないです。私も大上先生の本を参考にして書きました。

 

 

 ですが、私の実際の申請書を見ながらだと話は別です。実際の申請書の具体例を示しながらであれば、書き方の注意点や工夫点を詳細に説明することができます。なので、以下の説明は私の申請書が手元にあるとより理解できるように書かれていると思います。大切なお時間が無駄にならぬよう見る価値があると判断した人は参考にして頂き、そうではない人はブラウザバックすることを推奨します。

 

2. 学振申請書のレイアウト

2.0 筆者の研究業績

 DC1においては研究業績よりかはポテンシャルを鑑みた採用がされると思います。ですが、DC2では人によって業績の差が顕著に現れます。参考までに、これくらいでDC2採用になった人もいる程度に考えてください。

  • 学術論文(国際紙、査読あり):1st 2本(うち1本投稿中)
  • 国際会議:1st 1件
  • 国内学会:1st 4件
  • 受賞:3件(うち学会表彰1件、大学表彰2件)
  • その他:TA、給付型奨学金、GPA、授業料免除など7件

 

2.1 申請書の体裁

全体の体裁としては、以下の通りです。

  • 基本の書体:MS明朝 or Times new roman
  • 強調:下線
  • 大見出し:MSゴシック or Arial、Bold、網掛け、下線
  • 中見出し:MSゴシック or Arial、Bold、下線
  • 小見出し:MSゴシック or Arial、Bold
  • フォントサイズ:11pt
  • 行間:固定値16pt
  • 配置:両端揃え
  • インデント:左右0 字、字下げ、幅0.5字
  • 図のキャプション:MS明朝体 or Times new roman、10pt
  • 引用文献:Name et al., 雑誌名, 巻数(年数), ページ番号

 

2.2 書いた順番とタイムスケジュール

 学振の申請書を書くのはとんでもないストレスになります。これまで多くの経験をしてきた皆様なら分かるともいますが、何よりも肝心なのは書き始めることです。そしてここが最もエネルギーを必要とするところであり、一度筆が進むとそこそこ書けたりします。経験者としては、この書き始めに必要となるエネルギーを下げることが重要だと感じています。そこで登場するのが書く順番です。

  1. レイアウトと見出しを書く(3月後半)
  2. 【研究遂行力の自己分析】における研究リスト(3月後半)
  3. 【研究計画】(1) 研究の位置付け(着想に至った経緯以外) テキトー版(4月1週)
  4. 【研究計画】(2) ①研究目的、研究方法、研究内容 テキトー版(4月1週)
  5. 途中でもいいから先輩・助教に見てもらい修正(4月2週)]
  6. 【研究計画】(2) ②どのような計画で何をどこまで テキトー版(4月3週)
  7. 【研究計画】(2) ③研究の特色・独創的な点 テキトー版 (4月3週)
  8. ここまでの申請書を指導教員に少なくとも2回見てもらう (4月3週)
  9. 記入した箇所を本気版に仕上げる(4月3~4週)
  10. 【研究計画】(1) 研究の位置付け 着想に至った経緯を書く(4月4週)
  11. 【研究遂行力の自己分析】を書く テキトー版(4月4週)
  12. 【目指す研究者像等】を書く テキトー版(4月4週)
  13. 恥ずかしがらずに指導教員に見せて、ボコボコにされる(4月4週、遅くとも5月1週)
  14. 期限が迫ってくるので死ぬ気で修正(5月1~2週)
  15. 図のクオリティを上げる(5月2週)
  16. 最終確認(5月2週)
  17. 提出(5月2~3週)

 指導教員に申請書の添削を受けないで提出する人がいるそうですが、それでは高確率で学振は取れないと思います。せっかく学費も払っているのですから、申請書の指導というなかなか受けれれない好機を最大限利用してください。表現や文章構成などは、また論文とは違った別次元のものです。これの技術を少しでも盗めれば今後一生使えるな!と私は感じましたね。テキトー版と書いているのは、"自分で時間を決めて考えれるだけ書いたもの"という状態です。この状態ができたら早く誰かに見せるべきです。結局自分で追い込んでも時間が浪費してあまりブラッシュアップされないというのがオチです(経験談 笑)

 

 では、ここからは詳細な解説になります。頭に出てくる通し番号は申請書に振られている番号と共通です。該当箇所を見ながら参考にしてください。

 

2.3 記述内容のおまかな配分

 私の場合、初めて申請書を見たときは"文章や図をどの程度、どこに配置して書くのか"に相当悩みました。これもあくまで参考ですが、記しておきます。

【研究計画】(1)研究の位置付け 合計1ページ分

  • 当該分野の状況 0.3ページ(図含め)
  • 当該分野の課題 0.3ページ
  • 本研究計画の着想に至った経緯 0.3ページ
  • 参考文献 0.1ページ

【研究計画】(2)研究目的・内容等 合計2ページ分

  • 研究目的  0.2ページ(図含め)
  • 研究方法、研究内容 0.3ページ
  • どのような計画で、何を、どこまで明らかにしようとするのか1 ページ
  • 研究の特色・独創的な点 0.3ページ
  • 申請者が担当する部分 0.1ページ
  • 参考文献 0.1ページ

【研究遂行力の自己分析】(1)自身に関する強み 合計1.7ページ分

  • 研究における主体性 0.2ページ(図含め)
  • 発想力、問題解決力 0.2ページ
  • 知識の幅、深さ、技量 0.3ページ
  • コミュニケーション力 0.2ページ
  • プレゼンテーション力 0.1ページ
  • 業績リスト 0.7ページ

【研究遂行力の自己分析】(1)今後研究者として〜 合計0.3ページ分

  • 問題解決能力 0.1ページ(図含め)
  • 表現力 0.1ページ
  • 語学力 0.1ページ

 

3. 申請書の解説 PART1

3.1 【研究計画】(1) 研究の位置付け

・P3-1 :大まかな解説をつける

 申請書において、出だしというのはとても重要です。審査員の心情を考えると、申請書のデザインと最初の書き出しだけである程度の出来・不出来を分別したいはずです。なので、以下に出だしで"簡便な研究概要"を書くかが求められます。

 

・P3-2 :自分の研究テーマより少し広い分野の紹介から入る

 研究計画を見る人たちは研究のエキスパートですが、それでも個々人の研究テーマの領域まで詳細な知識を持っている人は多くありません。なので、自分のテーマに入る前に"こんな話をしていくよ!"という大まかな分野紹介を入れています。これで、これ以降の文章が理解されやすくなります。

 

・P3-3 :研究テーマにおけるキーワードを一文で強調して書く

 これからよく話題に上がる研究の要となるキーワードについては、下線を引いた上で、必要十分かつ簡潔な説明をつける。人によっては2文とかにもなると思いますが、重要なことは相手をわかった気にさせることです。この前半戦で、"んっ?"と思われると今後かなりの苦戦を強いられます。スッと入ってくる最高の説明を考えましょう。

 

・P3-4 :当該分野の課題を説明する前に布石を置く

 次のブロックで研究課題を説明していくわけだが、その前にあらかじめ"従来わかっている結果を示唆"しておくことで、課題説明への流れを作り、読み手にわかりやすくした。

 

・P3-5 :(課題提案)何がどんな理由でどこまでしかわからないのか

 ここは申請書の研究計画における大事な土台です。多くの研究の場合、何らかの課題がある取り組むわけですから、ここを明確に語れなければ評価は大きく下がると思います。課題が不明瞭であればあるほど、これから続く研究目的やその検証方法の妥当性を審査員は評価できなくなります。重要なことは、引用文献を用いながら"何が"”どんな理由で”"どこまでしか理解できていないか"を記すことです。また、これまでに記述した内容で理解できるような課題を提案する必要があります。

 

・P3-6 :自分の業績を引用しながら、着想の経緯を書く

 着想に至った経緯の箇所は、自分の業績を自慢するチャンスです。自らが発見した、調査した内容をもとにして博士課程ではどんなふうにステップアップさせるのかを書きましょう。DC1で論文がないという人でも、修士課程の研究内容をアピールしましょう。

 

・P3-7 :着想に至った経緯の後半は、博士研究への導入へ

 研究の課題点や、修士課程の内容は紹介し終えているので、ここでは博士研究のイントロを書いています。ある意味では、次ページ以降の博士の研究計画を読みやすくするための次回予告を書いているようなものです。この段落を見るだけで、次ページの内容がおおよそ分かるような大雑把な紹介をしています。

 

・P3-8 :参考文献に自分の論文を入れましょう

 参考文献は必ずつける必要がありますが、しっかり自分の著書を入れましょう。そして、自分の名前のところをBoldにしておくとアピールできます。

 

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長くなってきたので、本ページではここまでです。Part2はすぐにupします。これ本当に誰かの参考になるのかな?と思いながら書いてきましたが、どうでしょうかね?助けになれば幸いですが、、、 

 

【学振】DC採用への道のり - まず申請すべきかを考える -

 

【結論】

アカデミックを目指すなら何も考えずに必ず出す

就職するならより利益の多いフェローシップ等を獲得する

 

 

いまご覧になっているあなたは日本学術振興会 特別研究員のことはご存知ですかね?

学振にたどり着く人は修士課程または博士課程の学生さんでしょうから、他の記事等で大体はわかっているのではないでしょうか。なので私は詳細を省いて、DCへ採用された身として伝えたいことだけ書いていきますね。テーマは"学振は収入源として最適か"です。先に結論は、"博士課程後の進路による!"です。

 

 

1. 本当に学振を取るべきか

博士課程へ進学して活動・生活する上でまず最初に出てくるワードは学振だと思います。学振は全ての学術分野で共通の称号であり、日本国に後押しされた優秀な若手研究者であることを証明する、学生や指導教員にとっても名誉な職歴です。

ですがいざ取得してみると本当にこれがベストか?他のやり方だと金銭的に有利で自由な使い方ができたなぁと思うことがあります。ですのでまずは、学振の良い点と個人的に微妙な点をお伝えしますね。

 

1.1 学振のメリット
  • アカデミック職で生き残るための通行手形になりうる
  • 月額20万円の収入
  • 圧倒的知名度の獲得
  • 100万円程度の研究費が持てる
  • 授業料免除が通りやすい(あくまで体感)
  • 申請書を書く過程でグッと成長する(こことても重要)

・アカデミック職で生き残るための通行手形になりうる

 これに関しては最初に述べた通りです。博士学生の中でさらに優秀な層を選ぶわけですから、学振を持っているというのは研究遂行能力が高いことの証明です。なので、アカデミック職を狙っている人はここから先は読まずに、とりあえず学振申請書を書き出してください。(※学振がないからと言って、その人が不出来なわけでは決してないです。)

 

・月額20万円の収入

 これは環境や人によって多い少ないの感じ方が違うかと思います。ですが、最低限学生として生きていく分には困りません。国費から出ていますので大変ありがたい話です。なんせ、学生として当たり前の研究活動をしているだけでお金が入ってくるのですから。

 

・圧倒的知名度の獲得

 学振という称号・職歴の凄さは当然研究者界隈では知れ渡っています。ですので、顔見知り程度の先生方も名前を覚えてくださいます。また、名刺を渡す際に"おお学振取ってるんだ"と一声頂けることも多く、売名にはうってつけでコミュニティを広げる最大の武器になります。

 

・100万円程度の研究費が持てる

 私は最初これに意味があるのか?と思っていました。実際、実験装置や消耗品は指導教員が買うしなぁと。ですが、これは意外に重要です。なぜなら、個人が自由に使っていい予算が大学院生の時からあるというのは貴重であり、研究費の手続き経験や自分への投資の仕方など学ぶところが多いからです。このお金があれば、自分が行きたい国際学会に参加だけしてきてもいいわけです。PC買ってもソフト買ってもいいわけです。

 

・授業料免除が通りやすい

 これは所属大学にもよると思います。ですが、大半の大学は授業料が半額免除になるのではないでしょうか。なぜかと言いますと、学振は採用された場合(当然ですが)家族の扶養から外れて自営業のような扱いで(独立生計者として)免除申請をします。そのため、両親の年収などは重要ではなく個人の収入が判断基準になります。後述しますが学振の年収は168万円で計上されるので、比較的低所得者として授業料免除されやすいということです。

追記(22/07/21) 本年度から、学振の人は無条件で授業料全額免除という大学が増えているように感じます。私もそうでした。

 

・申請書を書く過程でグッと成長する

 私はこれが学振を書いた上で最も重要なメリットだったかと思います。同時に最もしんどい作業でもありました。

 学振の申請書は論文ともレポートとも違うものでして、こういった体裁のものを書いた経験のある学生はほとんどいないかと思います。学振に求められるのは、研究の提案力と過去の実績、そして申請者自身の将来性をアピールする能力な訳ですが、これがとても難しい。書くスペースは少ないし見やすくなければならず、それでいてどうにかチャレンジすれば実現可能な研究内容が記載されていなければなりません。また、自分自身の能力や将来性を自分で論理的に説明します。

 絶対に自分一人ではかけません。多くの先生に見ていただきました。20回程度の修正を必要としました。ですが、これを書き終わると採用でも不採用でも必ず社会で使える能力が向上します。ただし、指導教員の添削を受けないのならば、成長はあり得ません。

 

1.2 学振の微妙な点
  • 就職ではあまり役に立たない
  • 少なくとも東京勢は月20万では足りない
  • 年収240万の内、年72万円を研究関連に使う必要が出てくる
  • 第1種奨学金などは併給できない

・就職ではあまり役に立たない

 これは知名度の問題です。アカデミック界隈では有名でも人事の方などが必ずしも学振を知っているわけではありません。体感では名前を知っていてもその価値までを理解して頂けれる例は少ないです、ですが、逆にそれは博士研究者を重要視しているかどうかの指標にもなるので、博士後のキャリアに就職を考えている場合は学振は良い試金石になるかもしれません。

 

・少なくとも東京勢は月20万では足りない

 これは生活圏によっては致命的な問題になります。私は東京在住ですがかなり厳しいです。学費を満額払った場合、国立では5万弱かかりますよね。それに食費、家賃や光熱費、携帯料金なども併せると12,3万円は飛びます。そこに税金や保険料、後輩との飲み会なども入ってくるでしょう。もう詰みです。さらに次に書きますが、20万のうち6万程度を研究関連に使ったらもう生きていけないですね笑。1980年台から物価は上がっていますが、学振の給料は変わっていません。もう学振だけで生きていくのは困難ですね。

 

・年収240万の内、年72万円を研究関連に使う必要が出てくる

 年収240万の内、研究遂行費として年72万円を計上することができます。この研究遂行費とは何かというと、年収の3割程度(月6万円)を研究に関わる費用として計上することで、その分を非課税にするという制度です。つまり、税金を一部免除してくれるということです。ただし、ここで研究遂行費に該当するのはPCや書籍、学会参加費、出張費などです。家賃や光熱費、定期代(DCのみ)や英会話、授業料等は計上できません。

 ということは"必要ないPCや書籍を自分の給料から無理やり購入し節税する"ということになります。一方で、研究遂行費を計上しないと追徴課税として最大で16万円ほど取られます。(人によっては)いらないものを買って節税するか、大人しく税金を払うかの2択を迫られます。

 トレードオフの関係なのでこれは人次第ですが私は、節税をお奨めします。その理由は研究遂行費を計上すると年末調整時に年収が本来は240万円であるところを差し引いいて168万円で確定します。よって、書面上は低所得扱いで授業料免除等が通りやすくなります。

 

・第1種奨学金などは併給できない

 学振の出資元は国費です。よって第1種奨学金などの同じく国費から出資されている資金源は受け取ることが禁じられています。また、アルバイトは可能ですが制約が多いです。規則としては「雇用期間が1ヶ月以上であり、週あたりの労働時間が20時間以上になる場合」は報酬を受け取ることができません。ただし、財団等などの出資が税金ではない場合は奨学金を受け取ることができます。うん、難しい。給料少ないのに他で稼ぐのもダメということです。

 

1.3 学振を取っても、、、?

 上記のことをまとめると学振を勝ちとれたとしても、豊な生活は出来ませんし、ましてや彼氏彼女との結婚も考えてくる年齢ですが、そういった点でも安定した生活は出来ません。ただし、これらを考えても学振が持つメリットは大きいです。個人的には、とりあえず研鑽だと思い申請書は一生懸命作成し、合否が出た後に受けるか蹴るかは考えた方がいいと思います。(当たり前のことを言ってますね)

 ただし、次の2章で述べる学振以外の別の道というのも考えてみてはどうでしょうか。私は、DC2の採用だったので博士1年の時はプー太郎になるはずでした。ですが実際は別の収入源がありました。この収入源が相当うまい話でして、学振を受けるか今のまま継続するかを相当悩みました。ちょっと紹介しましょう。

 

2. 学振以外の収入源を獲得する

2.1 フェローシップ等のプログラムに採択される

 学振以外の資金源を選択するのなら以下のものが有名だと思います(2022現在)。実際には所属大学で待遇の違いが若干あると思いますので要確認ですが、基本的にはどれも20-22万円ほどもらえるかと思います。いずれも審査がありますが、学振ほどの競争倍率ないと思いますし、指導教員との相談次第では獲得しやすいものもあるかと思います。

 これらが学振とは異なる点は、国費が出資もとでも資金を受け取れれる可能性がある点です。今のところ参考例が少ないため確証はありませんが、第1種奨学金と併給できたという話も耳にします。ある程度豊かな生活を考えるなら一考する価値はあるかと思います。

 

2.2 公的研究機関で研究員として働く

 私の場合がこれに該当します。世の中には独立行政法人として公的に運営される研究施設がいくつかあります。参考としてURL貼ってきますね。

 

 

こういった研究所は大学と連携をしている場合が多いです。修士または博士課程進学の際に、外部研究機関の研究室を選択することでその連携先での研究が可能になります。その時に当然ながら外部研究機関での身分を決める必要が出てくるのですが、取り決めによっては任期付き研究員としての勤務でお給料がいただけます。

 私の場合は手取りでおよそ20万円が出ていました。また税金や保険の処理も全部研究機関の担当者がやってくれるので相当楽でした。学振のような細い制約もありませんし、交通費も出る、そしてアルバイトもOK、奨学金も受け取りOKという高待遇でした。

 学振に万が一落ちたとしても、こちらを狙った方がほぼ確実に収入も確保できて自由度も高く良いまであります。また職歴扱いなので、就職前に学生なのにも関わらず勤務経験アリになるのも良い点でしたね。

 

2.3 TA・RAで収入を補填する

 少しこのセッションの本旨と外れますが、TAやRAも有効な収入源です。これらは基本的に学振でもフェローシップでも、外部機関でも認められる可能性が非常に高い業務です。TAとRAだけでは食べていけませんが、上記と組み合わせることで生活水準を高めることができます。ここら辺は私が細かく言っても仕方ないので、指導教員に相談してみましょう。

 

3. まとめ:結局、学振どうなのよ?

 まとめると、アカデミックで生きていくなら学振一択です。ただし、面倒ごとや制約が非常に多いです。就職する人は、無理に学振を取らずにフェローシップや研究機関での勤務をお奨めします。ですが、学振申請書を完成させるという経験は貴重財産になりますので、ダメ元で出すというのがようと思います。(だいたい採用率25%なので申請者が多い方が合格者が増えて良いですね!)

 

重要なことだけと言って、長々書いてきましたね笑

じゃあ、次回以降は学振の申請書作成について書こうかと思います〜

博士課程へ進学を決断した理由  ~修士での就活はやめた~

※22/03/28追記 そこそこ見てくれる方がいましたので、なんか嬉しいです。

※22/07/21追記    博士課程への援助が手厚くなってきているなぁと感じています。   

        よい波が来ているのかもしれない!!

 

私は修士課程での就職を途中まで行い、やめた

なぜかというと、博士課程へ進学することを決意したからだ。

 

はっきり言って、相当悩んだ。メリットもデメリットも、、、

卒業できるのかな、就職は、、結婚は、、、実力的にも  ハァ~

 この決断は今後の人生を大きく左右することになるだろう。

だから同じ境遇の人は進路を決める参考にしてほしいなぁと。

 

結論的には、博士進学を決めた今でも後悔がよぎる時もある。

でもたぶん、この決断を10年後惜しむことはないように思う。

追記:D1になりましたが後悔は全くないです。

追記:D2になりましたが後悔は全くないです。

   肉体的に追いつかなくなってきました。ちょっと若返りたい笑

 

 

 

1. 博士課程とは

博士課程とは何ぞやという人はこのブログは見ないだろ!!

って話ですが、一応共通認識のために調べるとこんな感じです。

 

修士課程修了後に進む大学院の課程。修業年限は三年。または、学部を卒業後、五年以上の修業年限で専門的学術研究を行う課程。ドクターコース。

                    ~大辞林 第3版より~

 

世の中の多くの人にとって、博士課程というものは理解しがたく実感のないもののように感じます。また、博士課程を有することの価値やその称号が担保する個人の能力というものも中々評価されていないのが現状ではないでしょうか?

 

 

一方で博士号取得者や博士課程学生のブログを拝見すると、必ずしもそうではないように思います。(どちらも一例です。探せばたくさん出てきます。)

 

 

こういった博士号が有する価値の解釈は大抵の場合、研究分野によって大きく左右されるように思います。なのでこれから博士課程の価値を、一般的なメリット・デメリットと私の専門分野(無機化学)からみた評価に分けて考えてみます。

 

1.1 博士課程のデメリット

  •  国内では価値が認められにくい
  •  才能と努力と精神を極限にすり減らす苦行
  •  経済的困難:隣の畑が青く見える
  •  運の要素が大きく絡む

 博士課程は海外では能力・社会的地位ともに非常に認められており、研究機関や会社から給料をもらって取得するのが当たり前です。

 

 一方で、日本では博士課程の価値は長く専門を鍛えても、一つだけに尖った扱いにくい人※1 という認識が強く、修士課程の方が企業的には使い勝手の良さが見られますね(当然実力を認めてくれる企業もあります)。そして、学費は自分で支払います※2日本学術振興会の特別研究員制度DCはありますが獲得できるのは一握りです。

※1 追記(22/07/21)  博士課程の学生や、博士持ちの人と出会うことも多くなってきましたが、研究云々の前に、コミュ力や接し方を学んでくれと思う人がそこそこいます。こういう人が"扱いにくい博士"というレッテルを生む原因なのかも。

※2 追記(22/07/21) 学振をとると授業料は全額・半額免除になります。ちなみに私の場合は全額でした。

 

 また、修士課程までとは大きく異なり、自分の才能を信じながら努力を積み上げていく作業です。また運によってはその努力が水泡に帰します。そんなときに、稼いでいる同期にあったらそりゃ気分はもう、、、

 

1.2 博士課程のメリット
  •  独立して活動する能力が身につく
  •  永久に失われない社会的地位が得られる
  •  数ある人生の中で特異な得難い経験となる
  •  民間企業でのキャリア形成に有利(専門分野特有)

 博士課程のメリットとしては、世界共通かつ永続的な社会的地位の確保にあると思います。名刺にはDr.がつきますし、海外での空港保安検査や事件に巻き込まれて警察沙汰になったときに名刺を出せば即開放という話もよく耳にします。また、海外での職場では修士課程では参加できない会議や報告会がありますから出世にも有利です。

 

 特に、博士課程で得られる論文執筆や国際会議での発表、後輩の学生指導などは社会に入る前に見つけることで何処でも活躍できる下地が身につきます。

 

2. 博士課程進学の決断

2.1 実力面から

 私は修士課程から大学院に入学したので、B4から始めている学生よりは成果的には劣っていました。しかし、入学してそうそうに研究活動を毎日14時間程度することで、運よくM1の夏には国際誌に論文はアクセプトされましたし、秋には国内学会で口頭発表もできました。

 

 さらに、研究を進めM2 の春にはもう一本の論文投稿準備が出来ていました。論文数というのは学部学科によって大きく異なりますが、例年の私たちの研究分野では修士課程の間に1本出るか出ないかだったので、成果としては十分だったように思います。また、講義の成績も無駄によかった(GPA3.6)です。

 

 案の定、指導教授から博士課程へ進学してみないかというお誘いがありました。個人的には、「私は高専卒で実力は大学生には負ける、たまたま運が良くて成果が出ただけ」と思っていたのでずっとお茶を濁して返答していました。博士課程進学は正直怖くて不安しかありませんでした。

 

それを2ヶ月ほど続けていた結果、指導教授が痺れを切らしたのかなんなのか、所属大学内外の先生と大手化学メーカーの所長を研究室に呼んで"企業への就職保証"を確約してもらう形で自分の実力を無理やり突きつけられました。

 

2.2 精神面から

 精神的には、単純に自分の能力が博士課程に届きうるのか。途中でやめちゃったらどうしよう。修士で就職してしまった方が楽じゃないか。英語話せないしどうしよう。親は納得するかなぁ。教授と今の関係が今後も維持できるのか。博士課程でたあとどうしよう。などなど、本当に考えすぎて眠れない夜を過ごしました。

 

  ただ、決め手になったのは少しやっていた就職活動で感じたことや日本の政治的様相への不安でした。就職活動では大手メーカーのインターン と採用選考を数社受けました。しかし、そこで感じたのはこいつらと一緒の立場での就職はいやだ!でした。

 

 グールプディスカッションや共同作業を通じて、その場は人事への評価稼ぎなので、個人個人を活かして最良の結果になるような立ち回りを心がけましたが、内心ではこいつらもっと要点をまとめてはっきり話せないのか?など他の学生への不満を抱くこともありました(調子乗ってますね、わたし笑)。結局、採用活動にて内定を5社から得てなんか呆気ない気持ちになりました。どういう選択をすればいいのか、本当にこれで満足か?という、、、

 

 そこで、博士課程を取ったOBの方と面談させて頂き、修士卒業よりも博士卒業することで総合研究職としてもっと上の世界を目指せることや、今後日本が安定して戦争なく過ごしていける保証はないから博士課程があると不安はないよ?という話を受けた。博士号がないと、海外ではミーティングの仲間に入れてくれないことは驚いた。実際に世界で働く人の話は現実味があって、博士課程の価値がよく理解できた。

 

2.3 周囲の反応から

 周囲というのは両親や研究室の仲間、そして併せて所属していた研究所の先生方やポスドクの方々のことです。

 

 私は情報収集を兼ねた食事会を企画することがあったので、相談相手が多かったです。また、お酒の飲みっぷりが良かったのでポスドクの方々にも飲み会に呼ばれることがありました。そういった日常の中で、多くの方々が博士課程の厳しさや楽しさを語っていたのが後々の選択で生きてきました。特に否定的な意見を出さず、博士は辛いけどお前は大丈夫だっていってくれる人が多かったのが支えでした。

 

 また、両親は高卒なので勉強のことはさっぱりでしたが、「お金はこれまで通り出さないから勝手にやって!」と言われたのが逆に気楽で助かりました。

 

2.4 金銭面から

 先ほど少し述べた気がしますが、博士課程は学費を自分で払います。国立で200万くらいでしょうか。さらに家賃や生活費もかかります。20代後半の無職学生には辛い仕打ちです。

 

 日本学術振興会の特別研究員制度(学振DC1)はありますが、非常に狭き門で申し込んだ博士課程学生の3割しか採用されません。しかも、月20万円から税金などが引かれて手取り16万くらいかな。結構辛いです。というか生活はできません。

 

 こういった状況の中、金銭面が私の中では博士課程進学を止める一番の要因でした。ただ、ここでもまた教授が解決策を提案して無理やりにでも進学させようとしてきました。

 

 それは、学振が落ちたらRA(リサーチアシスタント)として月15万円で雇うということ。その他に企業とのコネを使って奨学金(返さなくても良い)への採用を確約するものだった。正直いうと相当うまい話であった。むしろこれを出されたら月収は新入社員などと変わらないため、金銭面が理由での博士課程の拒否はできなくなった。

 

3. まとめ:博士課程進学に必要だと感じたもの

ああだこうだと色々書きましたが、重要なことはたくさん考えた上で自分自身が決断することです、私の最後の決め手は"もう考えるのめんどくさいし、いいや!博士に飛び込んじまえ!!"でした。最後はなんか短絡的ですね笑笑

 

1. 実力(第一著者で国際誌に1本以上、学会発表2件以上の成果はあるか)

2. 精神力(不安を先延ばしにできる、根拠のない自信はあるか)

3. 人間関係(精神の支えになるような仲間はいるか)

4. 運(人生をかけられるような研究に出会えたか)

5. 教授との関係(博士課程進学を言葉ではなく行動や利益で支えてくれる人か)

6. 決断力(自分で選んだ道か、そうならば後悔はしない)

7. 向上心(足りないところを素直に受け止め改善できるか)

8. 忍耐力(社会的な少数者になる覚悟はあるか)

9. 保護者の理解(決して自分だけの人生ではない、最後に信用できるのは親)

10. 審美眼(博士課程の価値を理解しているのか)

11. 研究をやっていて自信をもって楽しいといえるか

     (99%は苦悩だが、1%の新たな発見をたのしめるか)

 

これら全てに納得できる答えを持っている人間は博士課程に進んでもずっと走り続けられると考えている。

 

義務教育を振り返って 学びの意義はなんだろう

 

突然ですが、私はいま問いたい 学びとは何か !! 

この問いは教授との日常的な話題として挙がったものだったのです。
それが思いのほか盛り上がり考えさせられました。なので、誰かの目にとまらないかな〜 他の人はどう考えているのだろうと思いました。

 

この問いの本質的な背景は、現在の教育への不満から始まりました。

私は中学生くらいの頃から学業に対しての閉塞感を感じていました。

閉塞感というのは、全ての問いや行動に模範解答があって、学生(生徒)は解答に忠実であることが求められている点です。失敗を恐れ、足並みを揃えることが正義であるかのような、、、。それが大学院生である今でも感じてました。

 

これを教授に話したところ、教授も同様に感じているようで、「自分の意見が言えない、研究に模範解答があると思っている学生が年々増加している」と、

 

ただ、教授は付け加えて「研究室に来て優秀な学生は、大学入学までに学習することの楽しさや意義が理解できている奴に多い」とも言っていました。

 

話していて私は、いや教授! 現在の教育ではそりゃ無理ですよw 学問の意義なんて考える暇ないですもん、楽しいからと言って点数はもらえないですもん。現環境でそれを伝えられる先生います? だって先生もゆとり教育受けてますから

 

とか、思っていました。そこでおおよそ会話は終わったわけですが、大学院生になった今、これまでの学びや教育について振り返ると、どんな意義があったんですかね?

ちょっくら、"これまでの学び"について考えてみようかと、、、

 

 



・学びとは(個人的見解)


私の意見は、本質的な学びとは"自己満足" だと思います。

なんかスッキリしない解答ですよね、切れ味悪いなと思いますよね、、、

 

私は"今における学び"というのは、テストで点を取る事って意味合いが強いように感じます。一方で、私が認識している学びは「勉学に限らず、運動や芸術、話芸などを含めて自分が知らないことを新たな知識として収集し、結果それが自己の満足感につながっていること」だと考えています。

だから、"自己満足" とまとめました。

 自分が満足していない知識の収集を"学び"と呼んで良いのか私は疑問です。

 

例えば、友人のお母さんの名前を覚えた事を"学び"とは感じないはずです。それは自分が欲していない知識だからです。対して、クイズ番組でウンチクを知ってそうなんだ〜という喜びは自己満足に属するかと思います。つまり"学び"です。

ここで、私の義務教育を振り返り自己満足があったかと問われると、数学にはあったと、私は学んだと堂々と言えます。ただ、それ以外の教科はどうなんでしょう。国語や英語など本来は多岐にわたる解答を、自分の中でねじ伏せて模範解答を一生懸命に暗記していた覚えがあります。

 

その原因は、本質的な理解をして自己満足を得るよりも、模範解答を暗記した方が他者評価(成績)が高いからではないでしょうか。

 

つまり、義務教育における"これまでの学び"は強制的な思考の放棄では??


・義務教育を経て、ゆとり世代と言われる我々

このような環境下では、「自分の意見が言えない、研究に模範解答があると思っている学生」が出現する頻度が増すのは当然の帰結です。むしろ、作為的に上記のような学生を生み出したと理解するのが妥当です。

 

そして、続々と高校・大学を経て社会へと学生は出ていくわけですが、使えない、常識知らず、コミュニケーション能力が低いと世間ではよく言われ、ひいてはニートや引きこもりが発生し、年々増加傾向であることは周知事実ではないかと思います。

 

 

でも、模範解答だけをなぞって来ただけでは、自分の人生にはどんな可能性があってどんな選択を迫られ、どの時にどう動けば良いかわからないのは当然ではないでしょうか。
 

本質的な学びを理解し、個々人がオリジナリティを発揮できる社会にはなにが必要なんでしょうかね。これまでの教育はつまらなかった気がします。

 

コロナウィルスが猛威を奮っていますが、その中で自分の考えを持って決断できる人間は就活でも進学でも跳ね除けていくことでしょう。

 

 

よく怒られる学生とは 後編 :量産型学生の生態

前編ではよく怒られる学生の特徴を述べましたが、どう感じられましたかね?
今回はよく怒られる学生の勝手な総称:量産型学生について考えます。

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仕事場でこんな新人社員いませんか?
研究室でこんな学生いませんか??
全く同じ解答 同じ行動、同じミスをし、同じく怒られる学生、量産型学生

自らのオリジナリティーとは何かを知らない、答えられない、問いかけた事がない学生が多いとは感じませんか???????

なんで怒られてんるだろうという顔や態度でただハイと言っている人は多分にいます。
そして前回述べたとおり、こういった課題点は社会に出る前に学校で解決すべきものです。
にも関わらず、量産型学生が多く排出される理由はこれまでの教育にあったといってもいい様に思います。

正直なところ、私もまだ大学院生の身分ですから見るだにして、量産型学生の比率は年々増加傾向にあって、その理由もハッキリわかります。(周りにその例がたくさんあるので)

一部は、小学校や中学校の教育レベルの低下。圧倒的な原因は、高校教育と家庭の教育にある様に思われます。


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まずは、小中学校の教育ついての私の不満を述べると"授業がつまらない"の一言に集約される気がします。

私は、理系なので理科および数学についての話をすると、理科の授業は余りにも単調で現実世界との乖離があるように思います。確かに、初学中学という基礎教育においてどれだけ知識を詰め込むかは重要ですが、理科という世界の真理を学ぶ学問において、学問の面白みがなく、ただの事実を覚えているだけのような気がします。
そして、世界の現象について面白く指導できる先生がいないように思います。十中八九、先生も理科の楽しみに気づけていないままに指導をしているからではないでしょうか。それは、授業中に学生は寝ますよ、そしてつまらない先生ほど眠る学生を叱りつけます。理科楽しく無くなりますよね。

数学(算数)においては、楽しさを伝えることはまず難しいと思います。それは、数学は世界共通の言語であり、世界の真理を記述する道具なのですから理科や経済の理解に伴って楽しくなって行くものだと思います。初期の数学は思考力を鍛えるという役割が強いですね。そうなると、小中学校では如何にして数学を嫌いにしないかが肝心です。
そんな中で、バカな先生は"直方体の面積は縦×横×高さの順番でなければ不正解にする"だとか、"まだ習っていないからかけ算を使った回答を不正解にする"ような稚拙な採点になり、数学から学生を遠ざけるのです。教える側が未熟です東京大学にいて初めてそれが理解できます。

すなわち、小中学校においては学問は"何が本質的に正しいのか・面白いのか"を分からない先生が教育をしている点が問題です。


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次に、高校教育について考えます。

高校教育における問題点は、明らかに大学入試センター試験(大学入学共通テスト)だと思います。どこが問題かというと、学歴社会になり大学に入る事が目的で、学問への楽しみがなくなった事。そして、ひたすら暗記をした人が合格する試験構造が学問を探求する時間を奪った事です。

これは、学生個人の思考する時間を奪い、その結果 興味のある学問もなく就職もしたい所も無く、そして他人に"思考と結論"を委ねるような量産型学生に退化するのだと思います。

本来的には、高校までの段階で何らかの分野に対して知的好奇心を見出し、その専門性へと向かって勉強し、大学という場で深められれば万々歳です。どうでしょう、そういう学生が生まれるような大学選びの仕組みになっていますか? なっていませんよね。
そもそも、各それぞれの大学の特色とレベルを理解し、学生の興味に適した大学を進められる先生は多くはないですよね。先生は大学への理解に努めておらず、学生も自分の興味の在り処を知らなければ当たり前の結論です。

つまり、高校においては、"研究をした事がない社会にも出ていない教師が、学生に勉強を無理やり詰め込んで大学という研究機関や民間会社に送り込む"という時点で破綻しているという事です。

なぜなら、先生がやって来なかったことを学生にやらせようとして、センター試験に向けて勉強をさせるんですもの。それは自分の将来に対する魅力は伝わりませんよ。経験ないから魅力を教えられませんもの。

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ではこれらの量産型学生が生まれたきっかけは何でしょう?
発端は現在における、たった一つの教育的な傾向(思想)にあると私は考えています。
それは、" 早期の自立 "です。

迷惑をかけない子供、手間がかからない子供、将来有望な子供を効率的に育成するために模範解答を脳に叩き込み、早期の自立を求めたから。大人が"子供の失敗する機会"を放棄したのです。大人が 理想とする子供の形 "に押し込んだのではないでしょうか。

勉強においても、偏差値とその学問への興味は必ず相関関係にあるわけではありません理科が100点で、それ以外が全部20点でもいいじゃないですか。でも、現在の教育は、家庭はそれを許さない。一度のミスで人生が大きく変わる。だからミスをしたら怒鳴る。
そんな強迫観念のもとに勉強させて、

"答えのある問題には答えられるけど、ないものはさっぱり分かりませんという人間"
を量産してどうするのですか!!!!!!!

誰かにひたすらやるべき事、やらなければならない事を子どものうちに押し付けられる。
だから自分が何者かを考える時間がなかった。人生の選択を"将来自分が経済的成功をする確率"で見るようになった。そうすると、子供は成功のために模範解答を続けるしかないじゃないですか、、、

みんなが示す方向に、正解へ全員で向かう、それが量産型学生なのではないでしょうか、、